2024年12月期第4四半期決算説明会 主な質疑応答

A.特に重要視している指標はEPSであり、CAGRで「一桁台後半から二桁」の成長にコミットする。従来の主要指標であった事業利益は事業環境などの影響を受けやすいが、EPSは利益成長に加え、資本政策などの成果も反映できるため、収益性の指標として適切だと判断した。加えて、企業価値向上には収益性だけでなく、資本効率の向上が重要だと認識しており、ROEとROICについても重要視している。ROICについては、従来から地域単位で資本効率のモニタリングは行っていたが、今後は、各Regional Headquarters(RHQ)において設定したROIC 目標に対して様々な取り組みを促進していくようなマネジメントを行っていく。

A.事業利益の成長を目指す前提だが、業績の進捗次第では、2030年でのガイドライン達成に向けて数千億円規模の自己株式取得が必要になることは認識している。具体的な実施時期については明言できないが、まずは、2020 年の CUB 買収時に実施した公募増資の株数(約 15,000 万株)をできる限り早期に買い戻したい。キャッシュ創出状況やNet Debt/EBITDA倍率なども見つつ、ステークホルダーとの対話も踏まえながら判断していきたい。2027年までは成長に向けた設備投資を強化するため、どちらかと言うと、それらの投資がピークアウトする2028年以降の方が自己株式取得の規模を大きくできるかもしれない。

A.2020年から2024年は、CUB買収によって財務健全性が低下していたため、キャッシュの多くを負債の返済に充当してきた。これについては計画を上回るペースで達成できたため、今後は、必要な成長投資をしつつ、株主の皆様にも報いていきたいという前提のもとに本方針を策定した。

A.配当性向は一時的な損益に左右される。安定的な配当実施を目指すために、指標をDOEへ変更した。また、今後も安定的な増配により中長期で株式を保有していただけるよう、累進配当にもコミットした。

A.今後も「一桁台後半」の成長を目指したいが、これまで達成できていなかった現状を踏まえて、保守的に見直した。事業環境については、2030年までは大きなネガティブな変化は想定していないが、中長期で見るとアルコールに対する逆風、消費者の嗜好の多様化、健康志向の高まり、若年層のアルコール離れなどを想定している。これらに対して、従来の市場でビールを中心としたカテゴリーのみを伸ばすのでなく、Beer Adjacent Categories(BAC:ビール隣接カテゴリー)の強化やプレミアム化も進めていく。組織の強化に加え、エリアの拡大も必要である。

A.WACC(5.5~6%程度)は現時点でのベストエスティメイトである。長期で捉えると、日本ではリスクフリーレートが引きあがる可能性がある一方、海外では引き下がる可能性もあり、その時々で見直していく必要がある。仮に、今後株主資本コストやWACCが上がったとしても、ROEとROICのガイドラインはそれぞれ一定のスプレッドを確保できるので、極端に上昇しない限り、変更する必要はないと見ている。アルコール規制等によるリスクプレミアムの増加についても、現時点ではその影響を定量化するほど大きな心配はしていない。WHOが策定した「アルコールの有害使用低減に関する世界戦略」に則り、当社としても様々な努力をしていく。

A.2025年4月からRHQを4体制から3体制に変更するが、各RHQの成長に最適なガバナンス体制を敷き成長戦略を実行していくため、3つのリージョンそれぞれが事業利益の成長ドライバーとなる。事業利益率の改善が最も見込めるのは日本である。価格改定を実施できるようになったことに加え、「One Asahi」としての取り組みに期待したい。二番目は欧州である。オセアニアについては、過去の高水準に戻すまでには時間がかかる。連結全体で過去最高の事業利益率に戻すには2030年頃までかかる可能性が高い。

A.2025年もグループ全体で300億円程度のコストアップを見込む。そのような環境下で、収益構造改革の成果を事業利益にそのまま上乗せすることは容易ではないが、今後の一桁台半ば~後半の事業利益成長の実現に向けて、各地域で様々な改革を実行していきたい。

A.主な設備投資とリターンは次の通りとなる。①生産力増強:欧州での缶ライン増設等。②ERP等のシステム高度化:将来的なリスクやコストアップの抑制、コマーシャル上のシナジー効果等。③工場などの安全確保や耐震補強:事業リスクの低減に加え、従業員のウェルビーイング向上、優秀な従業員のリテンションや採用による人的資本の高度化等。④サステナビリティ対応:新容器対応など、市場変化に合わせた取り組み。

A.価格改定後の需要減少リスクを一定程度織り込んでいることや、成長投資を予定しているため、保守的な計画ということではない。また、2024年の着地が大幅に上振れたため、25年の成長率が低く見えるという背景もある。開示した25年予想は必達ラインとして、価格改定後の数量減少が想定よりも小幅に抑えられた場合には、計画を上回る事業利益の達成を目指していきたい。ビール強化のために、『スーパードライ』を中心にして26年までの酒税改正を戦う基本方針は変わらない。本年は量販店や飲食店においてブランディングや販促を強化していく。『スーパードライ』に加えて、『マルエフ』『生ジョッキ缶』『ドライクリスタル』を強化することによって、ビール類の中でのビールの構成比拡大を計画している。ビールの新商品については今後発表する予定である。

A.売上構成比は、メインストリームよりもプレミアムが大きくなる中、2024年の数量は、メインストリームが減少する一方、プレミアムを増加させることが出来た。今後も、ローカルチャンピオンブランド(マーケットシェアNo.1ブランド)、ノンアルコールビール、グローバルブランドの強化によりプレミアム化を推進し、数量以上の売上成長を図る。中期的には、プレミアム戦略や収益構造改革の取り組みにより、2029~2030年を目途に事業利益率20%以上を目指す。

A.上期の増益は難しいが、下期に回復を見込んでいる。豪州はハイエンドなレストランの価格が上昇し、パブに需要が流れ、ビールがアフォーダブル・ラグジュアリーとして需要の受け皿になっている。当社はプレミアムブランドを有しており、そのような環境下で、競争優位性を発揮できる。豪州の利下げが早期に発表されれば計画達成確度は高まるが、景気任せとせず、計画達成を目指したい。

A.ビール市場の販売数量は少しずつ減少し続けているが、価格改定やプレミアムカテゴリーへの移行によるミックスの変化により、当社は収益を拡大してきた。このトレンドは今後も継続する見込みである。ビールは、主力の『Great Northern』はノンアルコールタイプ、ジンジャービールタイプ、プレミアムタイプを発売するなど、ポートフォリオを拡充している。RTDやノンアルコールビールなどは、今後も成長が見込めるため、好調な『Hard Rated』を含めて取り組みを強化していく。加えて、飲料と合わせたマルチビバレッジ戦略の推進により、成長を実現していく。

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